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2010-04-25 交際費課税 [税金の話]

平成22年3月末が決算の会社ではこれから税務申告に向けて忙しくなってきますね。 毎年税制の改正があって担当者としては税務の仕事だけをしているという人は、大企業でもない限りまれな訳で、忙しい中フォローしていくのが大変だと思います。


我々税理士はプロフェッショナルとして、改正点が多かろうが、難しかろうがとにかくしっかりと押さえていくということになります。 幸い税理士会で研修会をたくさん設定してくれていますから、できる限り出席することによって習得することにしています。


さて、平成21年度の改正によって、平成21年4月1日以後に終了する事業年度については、交際費等の損金不算入に関する定額控除限度額が年400万円から年600万円に引き上げられました。 


もっとも、国税庁が発表している平成20年分分会社標本調査で会社資本金別交際費支出額をみてみると、次の様になっています。

資本金                法人数   一法人あたりの支出額
1,000万円未満           117万社      637千円
1,000万円~5,000万円未満    84万社     1,445千円
5,000万円~1億円未満        5万社     3,956千円

定額控除限度額が適用される資本金1億円の法人については1億円以上5億円未満として分類されているので参考になりません。 5,000万円~1億円未満の会社にとってはメリットがあるようですが、大半を占める小企業にとっては、そこまで支出することがないので関係ないというところでしょうか。


しかし、この交際費課税は実務上はなかなか悩ましいものがあります。


会社の事業の為に使った経費は会社の決算では費用とされますが、税金計算上では費用(損金)として認められないので課税されるということが一般的には認識されていないように思います。 交際費という科目でなければいいという誤解をしている人もいるようです。


カレンダーや手帳などに社名を付して贈答品にする場合などは、本来交際費等に該当するのですが、広告宣伝の効果を認めて、政令で除外されているようです。 しかし、お店の開店祝いに花輪や生花を送った場合には、送り主の名前などを書いてあったとしても広告宣伝費としては認められず、交際費課税の対象とされるようです。


平成12年、冷凍設備工事を行う事業者が、施工したスーパーに対して贈った開店祝い用の花輪代等は、「パチンコ機メーカーがパチンコ店の開店祝いに花輪を贈る費用について、税務当局も販売奨励金としての性格を有するものとして損金算入を認めている」、ので交際費等に該当しないと裁判に訴えた判例でも、交際費等として認定されています。


販売促進のために売上割戻として一定の基準で支出する金銭は交際費等に該当しないこととされていますが、同じ基準でも観劇に招待する場合などは交際費等とされることになります。


このような例はあげるときりがありません。


交際費課税は翌期認容がありませんから、税金は取られっぱなしということになりますので税務調査においても重点項目となります。 同じような支出をしていても、交際費等に該当するとされる場合と損金として処理できるものとが出てきますので、説明資料をきちんと用意することが大切になってきます。


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