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2010-03-01 医療費控除-介護 [税金の話]

都市部でもこれから急速に高齢化社会に向かうことになります。 介護を受ける人もできれば住み慣れた自宅で過ごしたいと思う方が殆どでしょうが、家族が介護出来ない場合にはやむなく施設へ入居してもらうということになります。

入居に要する費用も馬鹿になりませんので、医療費控除を受けたいところですが、入居する施設で取扱が随分違うので注意が必要です。


介護で入所施設というと①介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、②介護老人保健施設、③認知症高齢者グループホーム、④有料老人ホーム、⑤指定介護療養型医療施設 などがあります。


介護をするための入所施設でありながら、一般の人が容易に理解できないような法律上の違いがあって、入居に必要な支出について医療費控除の取扱が異なっているのです。


まず、⑤指定介護療養型医療施設は介護保険法第107条で「療養病床等を有する病院又は診療所」と規定されていますから、これは普通の病院に入院したと思えば良いと思います。 また、②介護老人保健施設についても同法第106条で「介護老人保健施設は、医療法 にいう病院又は診療所ではない。ただし、医療法 及びこれに基づく命令以外の法令の規定(健康保険法 、国民健康保険法 その他の法令の政令で定める規定を除く。)において「病院」又は「診療所」とあるのは、介護老人保健施設(政令で定める法令の規定にあっては、政令で定めるものを除く。)を含むものとする。」と規定されていて、これも所得税では病院と同等に取り扱われることになります。

従って、入所に伴う介護費用や居住費、食事代等の自己負担分については医療費控除の対象になります。

これに対し、③認知症高齢者グループホームや④有料老人ホームは、入所はしているものの介護保険法上では居宅サービスに位置づけられていて、これに関わる支出については医療費控除の対象とされていません。 どちらかと言えば有料老人ホームなどの方が負担が多いと思いますが、ここはあくまでも医療との関連を問われている訳です。

また、①指定介護老人福祉施設における施設サービスについては、医師をはじめとする施設職員の連携の下、ケアマネージャーが「施設サービス計画」を作成して介護サービスを実施するところから、介護費用や居住費、食事代等の自己負担分のうちの2分の1を医療費控除の対象となる療養上の世話のための支出としています。

そのほか居宅サービスについても、医療費控除の対象となる支出もあります。 特別養護老人ホームによる施設サービスにせよ居宅サービスにせよ当該費用が医療費控除の対象となる支出であるばあいには介護サービスを提供する事業者が、医療費控除である旨を明らかにする領収証を作成することになっていますので、この領収証がない場合には医療費控除が受けられないことになっています。


従って、医療費控除を受けようとする人は、まず介護サービスの事業者にこういった領収証が発行されるのかどうかを確認する必要があります。


不思議なことに特別養護老人ホームを利用する短期入所生活介護(ショートステイ)とよばれるサービスは居宅サービスに分類されていて、一定条件を満たさない場合は医療費控除の対象とはなりません。 介護老人保健施設を使う短期入所は「短期入所療養介護」に区分されていてこっちの方は医療費控除の対象になります。

(参考)
施設サービスに関する国税庁HP
居宅サービスに関する国税庁HP



介護をする家族にとって見れば、入所している状況にさしたる違いはないのにもかかわらず、医療費控除の適用について違いがあるのは釈然としませんが、異議を唱えるのはなかなか難しい状況です。 
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