SSブログ

2010-02-24 適格退職年金の解約返戻金と申告 [税金の話]

ちょっと古いデータになりますが、厚生労働省のHPでは平成20年3月末に適格退職年金契約が残っている企業が3万件強あるそうです。 退職金をこの適格退職年金制度で運用している会社が随分あると言うことになりますが、この制度は平成24年3月末をもって廃止されることになっています。

従って、会社はそれまでに他の制度に移行するか適格退職年金制度そのものを清算してしまうかの選択をしなくてはなりませんが、従業員の同意取り付けや移行の事務手続きで2年あまりを要するといわれていますので、そろそろタイムリミットが近づいていると言えます。

移行できる制度としては①厚生年金基金、②確定給付企業年金、③企業型確定拠出年金、④中小企業退職金共済があるようです。 私は、年金制度については門外漢なので、何のアクションも取らなかった場合既に拠出されている掛け金や受託機関との契約がどう取り扱われるのかはコメント出来ませんが、いずれにせよ税制上のメリットが無くなる状態を続けていても会社にとっては何のメリットもないのでなんらかのアクションを取ると言うことになりそうです。

従業員側から見ると、会社が他の制度に移行してくれれば、退職時に新制度による退職金が支給されて、退職所得として取り扱われるため税制上のメリットを受けることが出来ますが、適格退職年金の清算ということになれば、年金契約の受託機関から従業員に解約返戻金が支払われて、一時所得として取り扱われることになります。

ここで退職所得として取り扱われる場合と一時所得として取り扱われる場合を簡単に比較してみましょう。

前提条件として、22年勤続の人が1,000万円を支給されたものとします。

①退職所得に該当する場合の税金の対象となる金額は
{1,000万円-退職所得控除額(40万円×20年+70万円×2年)}×1/2=30万円

注:退職所得控除は勤続20年までの期間は年40万円、20年を超える期間は年70万円ということになります。

②一時所得に該当する場合の税金の対象となる金額は
(1,000万円-特別控除額50万円)×1/2=475万円 注:特別控除額は不変

支給額や勤続年数によっても左右されますが随分と大きな差になります。 しかも、退職所得はこの金額だけで税金計算されますから、比較的低い所得税率が適用されますが、一時所得は他の所得と合算されますので高い税率が適用されるということもあります。 もちろん住民税にも影響します。


従業員としては何らかの制度に移行してくれればと望むところですが、 この不景気の中退職金負担にあえぐことになりかねない会社としては、この際清算してしまおうというところも多く出てきそうです。

そうなると、解約返戻金は一時所得として確定申告をしなければいけませんので注意しておきましょう。 ただし、給与・退職所得と解約返戻金しか所得の無い人で解約返戻金が70万円*以下である場合には申告する必要はありません。 (*この金額を誤って90万円と表示していましたので訂正いたしました。 2010/06/07)

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:マネー

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。