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2010-05-24 宮崎県口蹄疫被害義援金と寄付金控除 [税金の話]

宮崎県の口蹄疫被害がどんどん酷くなって、想像を超えた状態になってきました。 宮崎のスーパー種牛が全国の銘柄牛の仔牛を供給しているなんて全然知らなかったものですから、尋常ならぬ事態にただただ驚いています。

今日配信された国税庁のお知らせで、
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h22/kouteieki/02.htm

宮崎県口蹄疫被害義援金の課税上の取扱いについて

 宮崎県口蹄疫被害義援金(以下「義援金」といいます。)につきましては、所得税法第78条第2項第1号及び法人税法第37条第3項第1号に規定する地方公共団体に対する寄附金に該当します。  したがって、個人の方が義援金を支払った場合には、特定寄附金として寄附金控除(所得控除)の対象となり、法人が義援金を支払った場合には、その支払額の全額が損金算入の対象となります。

と報じられています。 寄付金控除は、個人の場合はその年に支払った特定寄附金から2千円を控除した金額を所得から差し引けるというものです。 法人については、寄附金の区分に応じて損金算入限度額が設けられていますが、この義援金は地方公共団体に対する寄附金に該当するのでその全額が損金対象ということになります。


畜産家の心情を思うと伝える言葉もありませんが、騒ぎが収まった後に早く復興できるように政府はきちんと手当しなければならないと思います。 寄附金が費用として認められるからという訳ではありませんけれども、こういうお知らせを何かの縁と思って私も一口乗りたいと思います。

ちなみに、宮崎県の義援金を募るHPは次のところです
http://www.pref.miyazaki.lg.jp/contents/org/fukushi/fukushi/shakai_fukushi/html00165.html


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2010-05-21 法人成りと消費税 [税金の話]

個人事業で始めた事業が上手く行くようになると、法人化した方が節税面で得だよなんてアドバイスを受けることがあると思います。

幸いにして収入が上がって行って、将来が見通せるようになってくると、法人化を考えることもあるでしょう。 


資本金1千万円以下で法人を立ち上げて、事業を移すと消費税では免税事業者となりますので、このメリットを考えて法人成りしようというのも無理からぬ話です。


この場合、個人事業者は事業を始めてから2年間は免税事業者だし、法人成りすればまた法人で2年間の免税事業者になれるので、都合4年間免税事業者になれると勘違いし易いのです。


個人事業で始めた事業が初年度から1千万円を超える課税売上があることなどあまりないのかも知れませんが、そもそも法人成りしようと言うときには事業が成功しているときですよね。


そこで2年前の課税売上が1千万円を超えているのに、3年目の早い時期に法人成りすると、個人事業の売上もそんなに上がってないし、課税事業者であることを失念する事もあるでしょう。 でも在庫を抱えていると会計上も税務上も法人に対する売却という事になるのですから、気をつけなければいけません。


法人成りは、名義が変わっただけで事業が継続しているので、昨日と今日の違いを余り意識しません。 つまり売却という事実に気づかず過ごしてしまいがちです。


税理士が関与している場合、当然3年目の個人課税分については消費税を申告することになりますが、3年目の法人成りで消費税課税を避けるために、2年目で法人成りすることをアドバイスすることもあります。 

2年目で法人成りすれば、法人側において課税が1年早くなりますのが、課税売上高が数年間同じだという前提でいえば結局、個人と法人の消費税の納税額の合計額は変わらなくても、キャッシュフローは1年得します。 


もちろんこれは売り上げがどのように推移していくのかという見通しやら、法人なりした初年度で課税事業者を選択するとかしないとか、いろいろと検討しなければならない条件があります。


だからこそ、税理士と事業の展望をよく打ち合わせておくことが大切です。 しかもできるだけ実行段階に入る前から相談して頂くことが必要になってきます。 これは消費税に限ったことではありません。 


「まず相談、それが節税の第一歩」です。





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2010-05-13 H22税制改正-消費税課税事業者選択届出 [税金の話]

消費税の改正については、これが目玉でしょう。 よく認識しておかないとあとでとんでもない目に遭うかもしれません。

ここから先はちょっと話がながくなりますので、消費税の申告納税制度が判っている人は緑字の部分は読み飛ばして頂いて結構です

消費税は商品を売り上げたりサービスを提供したときに、消費税としてお客さんからあずかった金額から、仕入や経費で支払った消費税の金額(これを「仕入控除税額」といいます)を差し引いて差額を納税するという構造になっています。


反対に、仕入控除税額が預かった消費税額を超えるときは、その超える部分の返還を受けることができます。

個人事業者であれば前々年、法人であれば前々事業年度(これらを「基準期間」といいいます)の課税売上高(法人の場合、前々事業年度は1年に満たないときの換算があります)が1千万円以下であれば、その年又はその事業年度は免税事業者ということになって消費税を納める必要がありません。 中小事業者の事務負担を考慮して申告しなくともよいとしたのです。


また、基準期間の課税売上高が1千万円を超えて課税事業者になったとしてもその年またはその事業年度の課税売上高が5千万円以下であれば、選択により、簡易課税制度選択届出書を提出して簡易な計算で納税できる制度があります。 これは実際の仕入控除税額の金額に関係なく、課税売上高に一定の割合を乗じて計算した金額を仕入控除税額の金額にするというもので、これを選択した方が納税額が少なくてすむと言う場合があります。

ところで免税事業者であっても仕入や経費を支払うときは、消費税が上乗せされてきますので、これをカバーするためには、名目をどのようにするかは兎も角、消費税相当額を代金として受け取っていると思います。


この場合、受け取った消費税相当額>支払った消費税相当額 の時は差額が利益になりますから、基準期間の課税売上高が1千万円を超えない限り、免税事業者のままでいるということになります。


この免税事業者に該当するQ法人が、1億円掛けて貸しビルを建て不動産賃貸業を始めることにしたとしましょう。 建築工事代金には500万円の消費税が加算されて請求されます。 免税事業者に該当するくらいですから2年前の課税売上高が1,000万円以下であったQ法人は、業績が順調に伸びたとしてもその事業年度の課税売上高が4,000万円位の見込みです。


そうすると受け取れる消費税相当額は4,000万円×5%の200万円ということになって、差引300万円の持ち出しということになってしまいます。 つまり、免税事業者であるQ法人は申告しなくとも良い代わりに持ち出しがあっても、それは自分で負担することになってしまいます。

このような場合には、その事業年度が開始される前に「課税事業者選択届出書」を税務署長に提出して、課税事業者になり申告書を提出することによって、払いすぎた消費税額を取り戻せることになっているのです。 

この事業年度では課税事業者になったとしても、簡易課税の選択届出書は提出しません。簡易課税制度を選択すると、実際の仕入控除税額とは関係なく納税金額を計算しますから、過払いの消費税額を取り戻すことができないからです。


Q法人は貸しビルを建てた事業年度の翌事業年度からは、課税売上高が5千万円を超えることがないと見ており、簡易課税制度が有利と見て翌事業年度のための「簡易課税選択届出書」を提出します。

ここまでは、消費税としては当たり前の話です。


ちょっと長い話になりますが、ここからが肝心です。


居住用の住宅の家賃は消費税が非課税になっています。 つまり、マンションを建てて1,000万円を超える家賃収入があったとしても家賃収入しかなければ消費税は0です。 その代わりマンションの建築代金に掛かる消費税は返してもらうことができません。 いくら課税事業者選択届出書を提出しても課税売上がないのでダメなのです。


そこで、こんな風に考えた人がいました。 家賃は非課税だけれども、マンション建築をしているときに自動販売機を建築現場において、課税売上がでるようにしよう。 そうしておいて課税事業者選択届出書を提出しておけば、消費税が戻って来るではないか。


実際の仕組みはもうちょっと説明が複雑になりますが、とにかく法律上は還付を受けることができたのです。


非合法じゃないけれど、法律の穴をついた処理でもともと問題になっていたのです。 それで今回の改正で対応しようと言うことになったのです。 しかし、その対応の仕方が問題なのです。


たしかにマンションの消費税を還付してもらうと言うことが、実質的にはできなくなりました。 それはそれでいいのですが、その波及で困ったことになったのです。


通常、課税売上が1千万円を超えない事業者は敢えて課税事業者になるようなことはしません。 ある事業年度(年)に、大きな金額の仕入控除税額が発生するようなときに課税事業者選択届出書を提出するのです。 一旦、課税事業者選択の届出を行うと、2年間は強制的に課税事業者になります。


課税事業者を選択したときは、たとえ基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも申告納税するということなのです。 消費税の還付を受けたい事業年度はともかく、課税売上高が1,000万円以下ならば強制的に課税事業者にされる2年を経過した後は、もとの免税事業者に戻りたいはずです。


これまでなら2年の経過で出せた課税事業者不適用届出書(基準期間の課税売上高が1,000万円以下の事業年度は免税事業者になると宣言する届出書のことです)を、100万円以上の固定資産を購入した事業者については、3年経過しなければ提出できないということに改正?したのです。


ちょっと数字を上げて例示してみましょう。


例年900万円の課税売上と400万円の課税仕入れがあるR法人が、事業用の車を800万円で買い換えることにしたとしましょう。 無論、これまで免税事業者です。


車の購入で40万円の消費税を負担することになるので、これを取り戻せるように課税事業者選択届出書を出しておいて、課税売上900万円に対する消費税45万円から通常の課税仕入400万円と車両の800万円の合計額に対する消費税60万円を控除すると、15万円の還付を受ける事ができます。


免税事業者のままだと通常取引で納付しなくてもよい消費税額が25万円あるので、車の消費税40万円からその25万円を差し引いて実質15万円の持ち出しということになります。 その事業年度だけをみれば15万円の還付と15万円の持ち出しを比較すれば30万円違うので、課税事業者選択届出書を出した方が良いと言うことになります。

しかし、その翌事業年度では免税事業者であれば納付しなくて済む25万円が手許に残るのに対し、課税事業者の場合は消費税でのメリットは0と言うことになります。 都合二年間でみると課税事業者を選択して免税事業者にもどれば5万円得になるというのがこれまでの制度でした。

しかし、今回の改正で3年間は課税事業者を続けなければいけませんから、免税事業者のままでいれば1年目15万円の持ち出し、2年目と3年目それぞれ25万円のメリットで総額35万円のメリット。 課税事業者になると1年目こそ15万円のメリットがありますが、2年目と3年目はメリットなしですから、課税事業者にならない方がいいのです。

今回の改正は自動販売機スキームを押さえ込むという面が強調されていますので、普通の事業をしている事業者には関係ないと思ってはいけないと言うことなのです。 よく試算して選択しないと損になる場合もあると言うことです。 ここは注意しておきましょう。


また、課税売上が1,000万円を超えるので簡易課税の適用を受けようと、簡易課税制度適用届出書を提出していても、届出が無効になる場合があります。 話が長くなったので詳しく説明しませんが、影響の大きさから言えばこちらの方が問題かも知れません。

大雑把に説明してきましたが、改正の内容はなかなか複雑です。 免税事業者で100万円以上の固定資産を購入する予定のある事業者は、よくよく税理士さんと相談してくださいね。





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2010-05-10 住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の非課税(平成22年度改正) [税金の話]

住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度は、平成22年度税制改正で内容が改められました。

この非課税制度はもともと平成21年の経済危機対策で「生前贈与の促進により高齢者の資産を活用した需要の創出を図るため」次の内容で制定されたものです。

すなわち

平成21年1月1日から平成22年12月31日の間に直系尊属からの贈与により住宅取得資金等、つまり、住宅用家屋の新築、取得又は増改築に充てるための金銭を特定受贈者が取得して、一定の要件を満たす住宅を取得等した場合には、その住宅取得資金等のうち500万円までは非課税とするものです。


ところが、昨年の住宅の着工戸数が大幅に減少して45年ぶりに80万戸を割ったとか言うことで、現行制度では非課税金額が足りないと考えたのか、非課税枠を平成22年と23年中に受ける贈与については1,500万円を、平成23年だけで受ける贈与については1,000万円とすることにしました。


ただし、特定受贈者の贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であるという制限がついています。 従来制度では平成22年12月31日までの贈与については所得制限がありませんので、平成22年度に所得制限で引っかかる人が出てくるかもしれません。


このような人の為に、平成22年中は旧制度(500万円非課税)の適用も認めています。


平成22年中に贈与を受ける人は、暦年課税を選択すれば最大でこの住宅取得資金等の非課税枠1,500万円と暦年課税の非課税枠110万円の合計額1,610万円(所得制限のある人は610万円)を贈与税無しで受け取ることができると言うことです。


もちろん相続時精算課税を選択した場合でも、住宅取得資金等の非課税枠は適用できます。 ただし、1,000万円の特別控除の制度が無くなりましたので、合計4,000万円までは贈与税の課税が生じないと言うことになっています。


住宅取得資金等の非課税枠は贈与を受ける人単位になっていますから、父親から1,000万円、母親から1,000万円贈与をうけると合計が1,500万円を超えますから500万円は課税対象となります。


所得の再配分という観点からはずれてしまいますが、とりあえず景気浮揚の刺激にはなるかも知れませんから、持ち家を欲しい方は親にねだってみてはいかがでしょうか?



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2010-04-28 収用等された場合の課税の特例 [税金の話]

「事実は小説より奇なり」という言葉がありますが、税金を巡っては想像もできないことがおこります。

今回の出来事は、「収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例」にまつわる話です。

個人であるNさんが所有する土地およそ900㎡の一部(170㎡)が県の事業に絡んで収用されることになり、その土地の対価とその土地の上にあった居宅や物置・車庫の移転補償金など合計8300万円を受け取ったそうです。

Nさんは代替資産として、総額7,900万円をかけて別の場所に土地を取得し居宅を新築したので、上記課税の特例を選択適用して申告したと言うことです。

これで収用された居宅を取り壊していれば、普通の収用等ですからなんの問題もないと思いますが、このNさんは収用されなかった土地の一部(330㎡)を、移転補償を受けた居宅とともに1,200万円でAさんに譲渡したのです。

Aさんは収用対象となった土地と自分が譲り受けた土地にまたがって建っていたこの居宅を自分の土地内に曳行したというのです。こんなことも実際には起こるのですね。

こういった状況で、税務署長は建物移転補償金6,600万円について課税の特例の適用はなく、一時所得として取り扱う更正を行いました。

移転補償を受けた建物を譲渡するということになると、ちょっと待てよという感じですよね。 

Nさんの主張によれば、土地330㎡のAさんへの譲渡は当初土地のみが対象であり、1坪12万円として売買価額を定め、建物についてはNさんが取り壊すことにしていたそうです。

しかし、購入者であるAさんの土地購入資金の借入先がその土地の上に居住建物が存在することを融資の条件としたため、Aさんに協力するため形式上土地代1,000万円、建物代200万円とする契約をしたということです。つまり、実質的には居宅の対価は受けていないと考えているわけです。

高裁判決の要旨は次のとおり、税務署の処分を適法と判断するものでした。

「土地を収用され又は収用権を背景とした土地の買収に応じて起業者から地上建物の移転に要する費用の補償を受けた者が、当該建物を取り壊して代替資産を所得した場合には、当該補償金について、措置法33条3項2号所定の「資産の損失に対する補償金」に当たるものとして、同条1項の適用を認めるべきであるが、本件では、本件居宅及び本件物置・車庫が取り壊されずに現存しているから同項の適用を認めることはできない。 また、前記事実関係等によれば、上告人(Nさんのこと)は本件居宅及び本件物置・車庫について本件建物移転補償金の交付を受けたものの、その交付の目的に従った費用に充てていないから所得税法44条の適用の前提を欠く。従って、本件建物移転補償金は、その全額を一時所得の金額の計算上総収入金額に算入すべきである」
これにたいし、最高裁では

上告人が主張する各事実が存在するかどうか、本件建物移転補償金のうちに所得税法44条や措置法33条の適用を受ける部分があるかどうかなどの点について十分に審理することなく、本件居宅等が取り壊されずに現存していることなどから直ちに、本件建物移転補償金には上記各規定のいずれの適用もなく、その全額を一時所得の金額の計算上総収入金額に算入すべきであるとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるべきである
として、高裁に差し戻しました。 つまり、建物は残っていても移転義務は果たしているとみたのです。もちろん事実関係を差し戻された高裁で審理した結果、例えばAさんへの譲渡が無償譲渡ではないとか、建物移転補償金の一部しか認められないということはあるのかもしれません。

こういった状況を相談されると税理士としては、なかなか厳しいですね。 事実認定がどう転ぶかわかりませんので、白黒つけがたいところが出てきます。 しかし、こういうことも含めて顧問先には分かり易いようにそして判断しやすいようにお話しなければいけませんね。



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2010-04-25 交際費課税 [税金の話]

平成22年3月末が決算の会社ではこれから税務申告に向けて忙しくなってきますね。 毎年税制の改正があって担当者としては税務の仕事だけをしているという人は、大企業でもない限りまれな訳で、忙しい中フォローしていくのが大変だと思います。


我々税理士はプロフェッショナルとして、改正点が多かろうが、難しかろうがとにかくしっかりと押さえていくということになります。 幸い税理士会で研修会をたくさん設定してくれていますから、できる限り出席することによって習得することにしています。


さて、平成21年度の改正によって、平成21年4月1日以後に終了する事業年度については、交際費等の損金不算入に関する定額控除限度額が年400万円から年600万円に引き上げられました。 


もっとも、国税庁が発表している平成20年分分会社標本調査で会社資本金別交際費支出額をみてみると、次の様になっています。

資本金                法人数   一法人あたりの支出額
1,000万円未満           117万社      637千円
1,000万円~5,000万円未満    84万社     1,445千円
5,000万円~1億円未満        5万社     3,956千円

定額控除限度額が適用される資本金1億円の法人については1億円以上5億円未満として分類されているので参考になりません。 5,000万円~1億円未満の会社にとってはメリットがあるようですが、大半を占める小企業にとっては、そこまで支出することがないので関係ないというところでしょうか。


しかし、この交際費課税は実務上はなかなか悩ましいものがあります。


会社の事業の為に使った経費は会社の決算では費用とされますが、税金計算上では費用(損金)として認められないので課税されるということが一般的には認識されていないように思います。 交際費という科目でなければいいという誤解をしている人もいるようです。


カレンダーや手帳などに社名を付して贈答品にする場合などは、本来交際費等に該当するのですが、広告宣伝の効果を認めて、政令で除外されているようです。 しかし、お店の開店祝いに花輪や生花を送った場合には、送り主の名前などを書いてあったとしても広告宣伝費としては認められず、交際費課税の対象とされるようです。


平成12年、冷凍設備工事を行う事業者が、施工したスーパーに対して贈った開店祝い用の花輪代等は、「パチンコ機メーカーがパチンコ店の開店祝いに花輪を贈る費用について、税務当局も販売奨励金としての性格を有するものとして損金算入を認めている」、ので交際費等に該当しないと裁判に訴えた判例でも、交際費等として認定されています。


販売促進のために売上割戻として一定の基準で支出する金銭は交際費等に該当しないこととされていますが、同じ基準でも観劇に招待する場合などは交際費等とされることになります。


このような例はあげるときりがありません。


交際費課税は翌期認容がありませんから、税金は取られっぱなしということになりますので税務調査においても重点項目となります。 同じような支出をしていても、交際費等に該当するとされる場合と損金として処理できるものとが出てきますので、説明資料をきちんと用意することが大切になってきます。


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2010-04-01 電気自動車の補助金 [税金の話]

年度が変わって国の制度もいろいろと変わったようです。 その一つに電気自動車に対する補助金が話題になっていましたので、ちょっと触れてみたいと思います。

三菱自動車がi-MEVの値段を398万円に引き下げて、個人向けに販売を開始するそうです。

三菱自動車プレスリリース

国の補助金が114万円もあるそうですから、実質負担額は284万円ということです。 それでもなかなか良い値段です。 よほどエコに貢献しようとする人でないと二の足をふむのではないでしょうかね。 もっとも販売方式がメンテナンスリースということなので、所有権は移らないと言うことなのでしょうね。

補助金が114万円もあると、個人ベースでは「国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書」を確定申告書に添付しないと一時所得も課税となるので、どうするのかとおもっていましたら、メンテナンスリースにすればリース会社が処理すると言うことになるので買い手(実際には借りる人)の手を煩わすことがないのですね。


法人の場合は借り手の処理がちょっと面倒ですね。 税務上は、資産を購入したものとして通常の減価償却を行う所有権移転リース取引、リース期間定額法によって減価償却を行う所有権移転外リース取引、通常の賃貸借契約で賃料を損金経理するオペレーティングリース取引とに区分されていますから、リース契約がどれに該当しているのかをよく確かめなくてはいけません。

中小企業のばあいは会計上は、貸借で処理して良いと言うことになっていますから、経理処理はそうするのかも知れませんが、税務調整が残る場合もあります。
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2010-03-01 医療費控除-介護 [税金の話]

都市部でもこれから急速に高齢化社会に向かうことになります。 介護を受ける人もできれば住み慣れた自宅で過ごしたいと思う方が殆どでしょうが、家族が介護出来ない場合にはやむなく施設へ入居してもらうということになります。

入居に要する費用も馬鹿になりませんので、医療費控除を受けたいところですが、入居する施設で取扱が随分違うので注意が必要です。


介護で入所施設というと①介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、②介護老人保健施設、③認知症高齢者グループホーム、④有料老人ホーム、⑤指定介護療養型医療施設 などがあります。


介護をするための入所施設でありながら、一般の人が容易に理解できないような法律上の違いがあって、入居に必要な支出について医療費控除の取扱が異なっているのです。


まず、⑤指定介護療養型医療施設は介護保険法第107条で「療養病床等を有する病院又は診療所」と規定されていますから、これは普通の病院に入院したと思えば良いと思います。 また、②介護老人保健施設についても同法第106条で「介護老人保健施設は、医療法 にいう病院又は診療所ではない。ただし、医療法 及びこれに基づく命令以外の法令の規定(健康保険法 、国民健康保険法 その他の法令の政令で定める規定を除く。)において「病院」又は「診療所」とあるのは、介護老人保健施設(政令で定める法令の規定にあっては、政令で定めるものを除く。)を含むものとする。」と規定されていて、これも所得税では病院と同等に取り扱われることになります。

従って、入所に伴う介護費用や居住費、食事代等の自己負担分については医療費控除の対象になります。

これに対し、③認知症高齢者グループホームや④有料老人ホームは、入所はしているものの介護保険法上では居宅サービスに位置づけられていて、これに関わる支出については医療費控除の対象とされていません。 どちらかと言えば有料老人ホームなどの方が負担が多いと思いますが、ここはあくまでも医療との関連を問われている訳です。

また、①指定介護老人福祉施設における施設サービスについては、医師をはじめとする施設職員の連携の下、ケアマネージャーが「施設サービス計画」を作成して介護サービスを実施するところから、介護費用や居住費、食事代等の自己負担分のうちの2分の1を医療費控除の対象となる療養上の世話のための支出としています。

そのほか居宅サービスについても、医療費控除の対象となる支出もあります。 特別養護老人ホームによる施設サービスにせよ居宅サービスにせよ当該費用が医療費控除の対象となる支出であるばあいには介護サービスを提供する事業者が、医療費控除である旨を明らかにする領収証を作成することになっていますので、この領収証がない場合には医療費控除が受けられないことになっています。


従って、医療費控除を受けようとする人は、まず介護サービスの事業者にこういった領収証が発行されるのかどうかを確認する必要があります。


不思議なことに特別養護老人ホームを利用する短期入所生活介護(ショートステイ)とよばれるサービスは居宅サービスに分類されていて、一定条件を満たさない場合は医療費控除の対象とはなりません。 介護老人保健施設を使う短期入所は「短期入所療養介護」に区分されていてこっちの方は医療費控除の対象になります。

(参考)
施設サービスに関する国税庁HP
居宅サービスに関する国税庁HP



介護をする家族にとって見れば、入所している状況にさしたる違いはないのにもかかわらず、医療費控除の適用について違いがあるのは釈然としませんが、異議を唱えるのはなかなか難しい状況です。 
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2010-02-24 適格退職年金の解約返戻金と申告 [税金の話]

ちょっと古いデータになりますが、厚生労働省のHPでは平成20年3月末に適格退職年金契約が残っている企業が3万件強あるそうです。 退職金をこの適格退職年金制度で運用している会社が随分あると言うことになりますが、この制度は平成24年3月末をもって廃止されることになっています。

従って、会社はそれまでに他の制度に移行するか適格退職年金制度そのものを清算してしまうかの選択をしなくてはなりませんが、従業員の同意取り付けや移行の事務手続きで2年あまりを要するといわれていますので、そろそろタイムリミットが近づいていると言えます。

移行できる制度としては①厚生年金基金、②確定給付企業年金、③企業型確定拠出年金、④中小企業退職金共済があるようです。 私は、年金制度については門外漢なので、何のアクションも取らなかった場合既に拠出されている掛け金や受託機関との契約がどう取り扱われるのかはコメント出来ませんが、いずれにせよ税制上のメリットが無くなる状態を続けていても会社にとっては何のメリットもないのでなんらかのアクションを取ると言うことになりそうです。

従業員側から見ると、会社が他の制度に移行してくれれば、退職時に新制度による退職金が支給されて、退職所得として取り扱われるため税制上のメリットを受けることが出来ますが、適格退職年金の清算ということになれば、年金契約の受託機関から従業員に解約返戻金が支払われて、一時所得として取り扱われることになります。

ここで退職所得として取り扱われる場合と一時所得として取り扱われる場合を簡単に比較してみましょう。

前提条件として、22年勤続の人が1,000万円を支給されたものとします。

①退職所得に該当する場合の税金の対象となる金額は
{1,000万円-退職所得控除額(40万円×20年+70万円×2年)}×1/2=30万円

注:退職所得控除は勤続20年までの期間は年40万円、20年を超える期間は年70万円ということになります。

②一時所得に該当する場合の税金の対象となる金額は
(1,000万円-特別控除額50万円)×1/2=475万円 注:特別控除額は不変

支給額や勤続年数によっても左右されますが随分と大きな差になります。 しかも、退職所得はこの金額だけで税金計算されますから、比較的低い所得税率が適用されますが、一時所得は他の所得と合算されますので高い税率が適用されるということもあります。 もちろん住民税にも影響します。


従業員としては何らかの制度に移行してくれればと望むところですが、 この不景気の中退職金負担にあえぐことになりかねない会社としては、この際清算してしまおうというところも多く出てきそうです。

そうなると、解約返戻金は一時所得として確定申告をしなければいけませんので注意しておきましょう。 ただし、給与・退職所得と解約返戻金しか所得の無い人で解約返戻金が70万円*以下である場合には申告する必要はありません。 (*この金額を誤って90万円と表示していましたので訂正いたしました。 2010/06/07)

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2010-02-19 退職者の住宅ローン控除 [税金の話]

2月16日を過ぎて確定申告真っ盛りと言うところですね。 税務相談を受けているといろいろな事例があるのに気づかされます。 本当に勉強になります。

ところで、平成21年中に退職金をもらった人については、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)の受け方に注意が必要です。 

退職すると通常会社に「退職所得の受給に関する申告書」を提出して、所得税と住民税を源泉徴収してもらうことにより課税関係をすませてしまい、確定申告をしなくてもよいと説明をうけることも多いと思います。

こんなご時世ですから、退職金で住宅を購入しようとする人は少ないとは思いますが、平成21年中に住宅を取得して住宅ローン控除を受けるために確定申告をする人は、退職所得についても分離課税で申告する方が良いときもあります。

例えば、21年中の給与所得について行われた源泉徴収税額が6万円で住宅ローン控除が20万円ある(つまり年末の借入残高が2千万円)とすると、所得税で還付を受けられるのは6万円ということになります。 残りの14万円については地方税で最大97,500円が控除されることになり、少なくとも42,500円は控除しきれないということになります。


この場合に、退職所得を確定申告すると、退職所得で源泉された所得税からも控除が出来ることになっていますし、住民税の計算においても退職所得の金額を合算したところで控除額を算定してくれますから、控除額が増えることになります。


ただし、合計所得金額が3,000万円を超えると住宅ローン控除は受ける事が出来ません。 退職所得は申告の有無に拘わらず合計所得金額に合算されますから注意してください。
(参照国税庁HP:合計所得金額3,000万円の判定)

また、退職した上で再雇用してもらった人で、平成11年から18年までの間に住宅ローン控除の対象となる住宅に住み始めた人が、住宅ローン控除を年末調整で受けているときも要注意です。 つまり、年末調整では源泉徴収分の所得税を限度に控除してくれるだけで、住民税についても最大97,500円の控除という規定が適用されてしまいます。 従って、こんな時は退職所得を含めて確定申告する必要があります。

住宅ローン控除は還付額も大きくなりますから、損をしないように気をつけたいですね。
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